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はじめに
採血は血液を検体とする臨床検査には欠かすことのできない医療行為である.採血は基本的に安全ではあるが,さまざまな合併症がみられることも事実である.また,採血時の不適切な手技により,採血にかかわる医療者側にも重大な健康被害をもたらす可能性がある.もちろん,正しい検査結果を保証するためには正確な採血手技が求められる.臨床検査の標準化という観点からみれば,統一的な手技・手順での採血はその基本でもある.
しかしながら,わが国においてはこれまで標準的な採血法についての取り決めがなく,実際の現場での採血は採血者の個人的な経験や各施設での指針などに基づいて行われてきたのが実情であったと思われる.一方,米国では以前から米国臨床検査標準化協会(national committee for clinical laboratory standards,NCCLS,現clinical and laboratory standards institute,CLSI)が採血についての標準的な手順の提示を行っており,その内容は一定期間ごとに見直され改訂されてきた.このような状況を踏まえ,日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee for Clinical Laboratory standards,JCCLS)では2004年7月,わが国で初めての採血法に関するガイドライン「標準採血法ガイドライン」を発行した1).なお,JCCLSは米国のNCCLSにならって,わが国における臨床検査の質的向上を目指して1985年に設立された団体である.臨床検査の標準化に向けた協議,検討ならびに提案などを行っており,検査関連業界の諸団体,関連官庁,検査関連諸学会を含む産・官・学の協力により運営されている.
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