Expert Lecture エキスパートに訊く筋ジストロフィー診療のポイント
Q:リハビリテーション治療を薬物療法と併用していくにあたって気をつける点は?
水野 勝広
1
1東海大学医学部専門診療学系リハビリテーション科学 教授
pp.8-11
発行日 2023年1月20日
Published Date 2023/1/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0119.03.91_0008-0011
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デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)に対する薬物療法としては副腎皮質ステロイドの投与が最も一般的であり,わが国でも標準的な治療法として認知されている.『デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン 2014』1)では,プレドニゾロン0.75mg/kg連日投与が推奨(グレードB)されている.ステロイド治療により,開始から2年程度は筋力の回復が見込まれ2),歩行可能期間が2~4年程度延長する3).ステロイドの作用機序として抗炎症作用のほか,遺伝子の発現調節作用などがある4).一方,長期投与では肥満,行動異常,骨折リスク増加,骨粗鬆症,成長障害,免疫機能低下,高血圧,耐糖能低下などの副作用に注意が必要である.近年ではステロイド以外にもエクソンスキップ治療薬が実用化され,治療薬開発が進んでいる5).しかし,根治療法の確立にはまだ時間を要し,リハビリテーション治療を含めた標準的医療を継続することが重要である.本稿ではDMDのリハビリテーション治療のエビデンスと標準的リハビリテーション治療を紹介し,薬物療法との併用,薬物の進歩によるリハビリテーション治療発展の可能性について紹介する.

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