特集 各施設の感染症対策
8.ビル内の感染症対策
柳 宇
1
1工学院大学建築学部建築学科
pp.52-58
発行日 2024年8月30日
Published Date 2024/8/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.08.01_0052-0058
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
2019年12月31日に中国武漢市で原因不明の肺炎患者が27名発生していることが武漢市当局から発表された.2020年1月15日に世界保健機関(WHO)はこの原因不明の肺炎に関して「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した.また,2月11日にWHOは,この原因不明の肺炎を新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)と命名し,国際ウイルス命名委員会はその病原体であるコロナウイルスを新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus type 2:SARS-CoV-2)と命名した.さらに,3月11日にWHOは,本疾患に対し,パンデミック(世界的な大流行)を宣言した.パンデミックは,各国の対策やウイルスの病原性の変化を経て,エンデミック状態になったことから,2023年5月5日にWHOテドロス事務局長は,COVID-19に対する緊急事態宣言の終了を宣言した.パンデミックの期間は3年以上にも及んだ.SARS-CoV-2の伝播経路について,当初WHOなどの公的機関は空気伝播(airborne transmission)はないと推定し,もっぱら飛沫伝播と接触伝播による感染対策を推奨していた.しかし,現在,WHOは空気伝播が重要な伝播経路であることを示している1).本報では,呼吸器系感染症病原体の伝播経路に関する見解の変化,最新の伝播経路に関するWHOの見解やビル内のバイオエアロゾル対策方法について述べる.
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.