特集 ビルの衛生管理
ビルの衛生工学
吉沢 晋
1
1国立公衆衛生院建築衛生学部
pp.657-663
発行日 1970年11月15日
Published Date 1970/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204164
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はじめに
建物を環境衛生的に好ましい状態に保つということは,基本的には,まずよい建物を建てることから始まる.そして,建てられた条件や意図にしたがって適正なる維持管理を行なってゆくことによって達成される.正しく作られなかった建物は,いかに維持管理の面で努力しても,良い環境を出現することは難かしいし,維持管理活動が正しく行なわれなければ,良い建物もその真価を発揮することはできない.この極めて自明と思われる事柄が,これまであまりにも看過されすぎていたようである.とくに,建てる側の建築技術関係者と,維持管理に注目しがちな衛生関係者の間に,理解と交流が少ない現在,本来ならば避け得られるはずの種々の問題があるように考えられる.
衛生関係技術者としては,建設の過程そのものについても理解を深め,環境衛生上の問題点に関して,その原因と現状を把握しておくことは,維持管理活動の可能性と限界を知り,将来の方向を定めるのに役立つものと考えられる.
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