特集 新型コロナウイルス感染症UP-TO-DATE 2021
5.新型コロナウイルス感染症における治療指針の変化
石井 晴之
1
1杏林大学医学部呼吸器内科学教授
pp.33-39
発行日 2021年4月30日
Published Date 2021/4/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.05.01_0033-0039
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2020年2月26日に日本感染症学会から『COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方(第1版)』が発表されて1年が経過した.第1版では,「現在日本ではCOVID-19に適応を有する薬剤は存在しない.よって行う事のできる治療は,国内で既に薬事承認されている薬剤を適応外使用することである.使用にあたっては各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り,必要な手続きを行う事とする」としており,HIV-1に対するプロテアーゼ阻害薬のロピナビルと抗インフルエンザウイルス薬のファビピラビルによる治療効果を期待していた.しかし現在では,抗ウイルス薬の投与時期はウイルス増殖時期と思われる発症早期が適切と考えられ,発症7日前後以降では宿主免疫による炎症反応が主病態であると考えられている1).つまりこの時期に中等症・重症に悪化した症例では,抗ウイルス薬より抗炎症薬が重要2)になってきており,治療指針の考え方が大きく変わってきた.
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