特集 ノロウイルス研究の最前線
4.ノロウイルス検査診断法
大熊 博
1
1栄研化学株式会社信頼性保証統括部薬事部
pp.25-30
発行日 2017年9月30日
Published Date 2017/9/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.01.01_0025-0030
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ノロウイルス(Norovirus:NoV)は,冬季に発生する感染性胃腸炎の原因ウイルスであり,手指や食品を介して経口感染を引き起こし,ヒト腸管で増殖する.また,NoVによる食中毒は,発生件数および患者数で毎年上位を占め,下痢や嘔吐などの臨床症状を引き起こす.すなわち,NoVは大規模な食中毒に発展するリスクがあり,大きな社会問題としても取り上げられている1,2).感染経路は,感染・発病した患者の嘔吐物や排泄物による環境(下水→河川・海→二枚貝など)3)からの感染,感染や発病あるいは嘔吐物や排泄物に接触した食品調理従事者などによる食品からの二次的な感染,そして嘔吐物や排泄物の処理により感染したにも関わらず症状を示さず(不顕性感染)日常生活を送り,ウイルスの付着によりヒトからヒトへの感染などがある4).特に食品従事者の不顕性感染による感染拡大の防止には,適切な検査による早期発見と定期的な検便検査による予防がきわめて重要となる.
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