薬物療法マネージメントのこつ
化学療法誘発性末梢神経障害 ─本邦の現状とASCO/ESMOガイドライン2020─
川口 展子
1
1京都大学医学部附属病院腫瘍内科特定病院助教
pp.50-53
発行日 2022年3月10日
Published Date 2022/3/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.07.01_0050-0053
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化学療法による末梢神経障害(chemotherapy induced peripheral neuropathy:CIPN)は,長期間持続し患者のQOLの低下を来す有害事象である。緩和治療においてはQOLが維持できないため治療継続が困難になることがあり,また,根治的治療を受けたサバイバーにおいても長期持続するCIPNはQOLを低下させてしまう。2014年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)ガイドラインや,日本がんサポーティブケア学会の『がん薬物療法に伴う末梢神経障害マネジメントの手引き2017年版』にはCIPNの有効な予防方法はないとされてきた1)2)。しかし近年,タキサン系薬剤による末梢神経障害に対して,フローズングローブ&ソックスによる冷却療法や,手術手袋を用いる圧迫療法の有効性が報告されている3)4)。最近関連学会の抄録でも,CIPNの予防についての取り組みについての発表が増加している印象があり,関心の高さが感じられる。2020年に入り,ASCOと欧州臨床腫瘍学会(ESMO)からアップデートされたガイドラインが発表された5)6)。そこで本稿では,本邦の現状とASCO,ESMOのガイドラインのアップデートについて,予防と治療に分けて述べたい。なお,海外のガイドラインのため,日本の保険適用と異なる場合がありご注意されたい。
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