連載 Focus On
本邦に潜在するChagas病の現状
今井 一男
1
1埼玉医科大学感染症科・感染制御科
キーワード:
Chagas病
,
Trypanosoma cruzi
,
心筋症
,
先天感染
Keyword:
Chagas病
,
Trypanosoma cruzi
,
心筋症
,
先天感染
pp.842-848
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_842
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Chagas病は南米で流行する慢性寄生虫疾患であるが,近年の中南米からの移民の増加に伴い,非流行国における患者数も増加している.慢性期感者を発見し,不整脈による突然死を防ぐことに加え,感染者からの先天感染,輸血・移植を介した感染を防止することが,公衆衛生上の課題である.国内には約27万人の南米移民が居住しており,約3,000人のChagas病患者が存在すると推定されている.しかしながら,疾患の認知度が低く,診断体制も整備されていないため,これまで診断された患者はごくわずかであり,先天感染例を含む多くの患者は未診断であると考えられる.国内において,疾患の認知度向上と診断体制の整備が急務である.
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