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乳癌に限らず,癌患者の臨床に従事するものにとり,その患者の腫瘍の分類は診断治療に密接に関わることから,最新の分類を確実に把握しておく必要があるのはいうまでもない。一方,従来腫瘍性病変の分類は腫瘍細胞の形態学的特徴をもとにして行われてきた。現在でもこの形態学的分類が基本となることには変わらないが,最近の基礎および臨床研究から日々報告される新しい知見を積極的に日常診療に取り入れ,癌患者の診断/治療に最大限取り入れることが求められる。ただ,これらの新しい基礎研究の成果を日常診療に取り入れる際には,同時に汎用性という観点も腫瘍の分類では強く求められる。すなわち,ある意味で世界中の多くの医療施設で適応が可能な分類であることも,現在の医療環境では求められている。特にWHO分類などではこのような汎用性,普遍性が何よりも求められる。一方,同時に乳癌の場合,他の悪性腫瘍と比較してもluminal型,TNBC(triple-negative breast cancer)型,HER2型の分類に代表されるような疾患の概念の変遷,分子病理学的な研究の進捗,画像診断/治療法の進歩に大きな進展がみられている。2012年に発刊されたWHO Classification of Tumoursの第4版1)は非常に優れた乳腺腫瘍の分類ではあったが,このような最近の基礎,臨床双方の研究成果を積極的に取り入れた改訂が待たれていた。そこで,今回乳癌のWHO分類の第5版がIARC(International Agency for Research on Cancer)のもとで出版された2)。この第5版で規定された乳癌の分類はしばらく世界中で汎用的に用いられることが考えられる。筆者も本邦から唯一editor/編集者としてこの第5版の編集に関わった。そこで,今回乳腺疾患に従事している医師にとって知っておくべき項目を,自身の編集の経験も踏まえ第4版と比較することでまとめる。最初に,今回WHOでは種々の悪性腫瘍で第5版として新しい分類法を提唱しているが,この第5版の刊行に際しての基本方針について触れてみる。「KEY WORDS」TIL(tumor infiltrating lymphocytes),NEN(neuroendocrine neoplasm)
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