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HER2陽性転移・再発乳癌に対する一次治療として,トラスツズマブ+ドセタキセルにペルツズマブを併用することで有意に無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が延長することは,CLEOPATRA試験1)で示されている。そこで,HER2陽性乳癌の術前・術後化学療法においても,化学療法+トラスツズマブにペルツズマブを併用することで,pathological complete response(pCR)率や予後の改善が得られるかを検証する試験が行われてきた。特に,術後治療について検証したAPHINITY試験2)に基づいて,HER2陽性乳癌の術後化学療法におけるペルツズマブの投与が,リンパ節転移を有する「再発リスクが高い患者」を対象に承認された。しかし,センチネルリンパ節微小転移を有するHER2陽性乳癌の扱いについては,現時点ではまだエビデンスは十分とはいえず,議論の余地がある。特に術後治療において,効果の確証が得られていない治療を積極的に行うべきではないということを前提として,「センチネルリンパ節微小転移を有するHER2陽性乳癌の術後治療にペルツズマブは不要である」という立場から論じる。ただし,リンパ節転移における微小転移はN1mi:最大径が0.2mmを超える,および/または細胞数200個を超えるが2.0mm以下と定義し,遊離腫瘍細胞(isolated tumor cell)はN0(i+):転移巣0.2mm未満または腫瘍細胞200個未満と定義する。●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。また,特定の薬剤の誹謗をするものではありません。・論点整理/南博信・「すべきである」とする立場から/下井辰徳・「不要である」とする立場から/木澤莉香/尾崎由記範
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