MY SETBACKS 私が挫折しそうになった経験
第4回
杉山 敏郎
1
1北海道大学病院先進消化器がん分子標的治療・予防学研究部門特任教授
pp.78-79
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.15.01_0078-0079
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自慢できないが,実は私には「挫折しそうになった経験」が多い。よく考えると,挫折しそうになるには,多くは「その状況に関与した第三者」がいるわけで,これらは「時効」が過ぎるまでは公にしがたいことが多いのである。自身の誤解から「挫折しそうになり,後に,それが氷解した経験」は,むしろ,その人物の「人となり」を披露することとなるので「好ましい文」ができ上がる。おそらく世間からは,私は臆せず主張するタイプとみられているから,多くの読者は前者のような本音の挫折経験を期待しているのであろうが,前述の理由から書いてよい「挫折しそうになった経験」は自ずと限られる。前置きが長くなったので,本文。期待と現実の結果の「落差」が大きいほど挫折を味わう。本企画は「挫折しそうになった経験」で,最期は挫折せずに済んだ経験なので,そのような経験を選んだ。大学院2年目のお正月明け20日頃であった。当時,私は立派な実験室のある札幌市内の病院に勤務していた(当時の大学院生では普通の勤務形態)。日曜日,実験中であったが,突然,電話が鳴った。日曜日に,しかも病院内の実験室に電話がくるのは,おおよそ見当がつく。当時の札幌医科大学第一内科谷内 昭教授からの電話であった。
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