特集 CURRENT TOPICS わが国から胃がんを撲滅するための方策
3 除菌数を増やすためにどのような取り組みが必要か ③行政への啓発
秋野 公造
1
1参議院議員
pp.35-39
発行日 2018年7月10日
Published Date 2018/7/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.14.01_0035-0039
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浅香正博先生の長年にわたる粘り強い取り組みを背景として,国は,平成23年2月18日に,胃がんの原因をピロリ菌であると初めて認める閣議決定をした答弁書を発出し,胃がん予防のためのピロリ菌除菌が,薬事上の適応を慢性胃炎の段階まで拡大したうえで,保険を適用して実現したのは平成25年2月21日のことである。以後,臨床現場においてピロリ菌除菌が可能となり,保険適用後4年における除菌数の実績は約600万件にものぼる。さらに胃内視鏡の実施を保険適用の要件としたことから,同数の検査が行われ,結果として胃がんの早期発見にもつながり,胃がんによる死亡数はわずか4年で9.2%もの減少を示している。現在のところ,浅香正博先生の「胃がん撲滅計画」は順調に進んでいるようにみえる。しかし,今後とも胃がん予防のためのピロリ菌除菌は慢性感染症対策の視点をもって対策を強化する必要がある。エイズ・結核その他の慢性感染症対策と比較しても,①正しい知識の普及啓発,②早期発見のための検査体制の推進,③医療提供体制の構築は共通する取り組みである。特に普及啓発に終わりはない。これまでの取り組みを振り返り,今後の展望について叩き台を示して先生方のご指導を仰ぎたい。
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