特集 CURRENT TOPICS バレット食道研究の最前線
8 バレット食道における胃・腸型形質発現の検討
塩谷 昭子
1
1川崎医科大学消化管内科教授
pp.39-42
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.11.01_0039-0042
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バレット食道から採取した生検およびブラッシングサンプルにおける遺伝子発現を検討した。胃液pHや胆汁酸濃度などの胃内の環境が,バレット食道におけるHedgehogシグナルを介してバレット食道の発生あるいは伸展に関与し,腸型形質の発現は除菌後に抑制される可能性が示唆された。また網羅的遺伝子解析の結果,ブラッシングサンプルにおけるCD55の高発現は,バレット腺癌の新しいリスクマーカーとしての臨床応用の可能性が認められた。「はじめに」バレット食道は,本来,重層扁平上皮で覆われている下部食道粘膜が円柱上皮に置き換わった状態で,円柱上皮で覆われている下部食道粘膜は,バレット上皮あるいはcolumnar lined esophagus(CLE)と呼ばれる。北米では,バレット食道は,CLEの長さにかかわらず適切な生検材料によりgoblet cell metaplasiaをもつ特殊円柱上皮(specialized columnar epithelium:SCE)が認められる場合のみと定義されている。
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