目でみるシリーズ 画像でみる緑内障の病態
第23回 画像検査でみる近視緑内障眼 ~OCT篇~
齋藤 瞳
1
1東京大学医学部眼科学教室 講師
pp.1-5
発行日 2024年8月20日
Published Date 2024/8/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.01.68_0001-0005
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近年世界的な近視人口の増加が報告されており,2050年までに世界人口の約50%が近視に,約10%が強度近視になると予測されている1).また,疫学調査によるとアジア人の近視有病率は他人種と比較して2~5倍程度違うと報告されており2)-4),近視によって起きるさまざまな合併症の影響はアジア諸国で特に大きいと考えられる.近視との関連が確認されている眼疾患は多数あるが,その代表的なものに緑内障が挙げられる.近視眼では眼軸長が延長することにより,後極部の眼組織が伸展され,さまざまな特徴的な眼底変化[乳頭傾斜や傍乳頭網脈絡膜萎縮(PPA)]を呈することが知られている.しかし,これらの所見は緑内障眼でも認められることが多く,両者の鑑別は必ずしも容易ではない.純粋な近視による変化と緑内障による変化(臨床的には眼圧下降治療を必要とするような所見)を見極めるためには,眼軸延長や緑内障によってどのような視神経乳頭周囲の構造変化が起きているかを把握する必要がある.乳頭周囲のブルフ膜,脈絡膜,強膜,篩状板や篩状板前組織などが変形することが知られているが,これらの組織は通常の検眼鏡的検査や眼底写真では間接的に観察することしかできず詳細な検討はできない.そこで,近年は光干渉断層計(OCT)を用いて乳頭深部の構造を可視化・評価する研究が積極的に行われている.本稿では近視眼のOCT撮影の注意点やコツを紹介するとともに,OCTを用いて近視正常眼や近視緑内障眼でどのような構造変化がみえるのかを解説したいと思う.
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