Glaucoma 私のArchives
シュレム管内皮細胞研究
濱中 輝彦
1
1日本赤十字医療センター眼科/医療法人社団喜修会 石田眼科医院/道玄坂 加藤眼科
pp.90-93
発行日 2018年3月14日
Published Date 2018/3/14
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.00.55_0090-0093
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私の緑内障Archivesにおける原点は,スウェーデンのウプサラ大学生理学教室でAnders Bill教授にいただいた研究テーマにある.ぶどう膜・強膜ルートを発見したことは彼の最も代表的な功績でもあるが,この研究も含めて彼の研究姿勢は眼の生理学と薬理学をベースにし,そこに形態学を持ち込んでさらに生理学を深めようとしたところにある.私が留学した1982年あたりは,薬理学的線維柱帯切開術が緑内障治療にならないかという試みが世界中でトピックになりつつあった.これに関してのパイオニア的業績は,Bill教授の恩師であるErnst Bárány教授がヒアルロニダーゼを用いて線維柱帯の細胞外物質をwashoutさせた結果,房水流出率が上昇したことを報告したことである1).また,線維柱帯細胞やシュレム管内皮細胞(SCE)にはアクチンフィラメントやビメンチンフィラメントなどの細胞骨格が存在して2)細胞形状を決定しているが,EDTAやα-キモトリプシン3),サイトカラシンB4)などの薬剤で隅角構成細胞の細胞骨格を変化させれば緑内障治療に結び付くのではないかという考えに発展していった.
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