Summing Up
緑内障の薬物治療
小川 俊平
1
1東京慈恵会医科大学眼科学講座 講師
pp.46-54
発行日 2017年9月8日
Published Date 2017/9/8
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.00.54_0046-0054
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緑内障診療ガイドライン(第3版)において,「緑内障は,視神経と視野に特徴的変化を有し,通常,眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」と定義されている.緑内障治療の目的は患者の視機能維持であるが,現在のところ緑内障の進行を抑制することが証明されているのは眼圧下降治療のみである.現在利用可能な点眼薬は9系統,20種類を超えており,薬物療法が全盛の時代といえる.そのため,手術療法に至る症例は減少したといわれることも多い.しかし,実臨床においては診察で十分な眼圧下降が得られていても視野障害が進行する症例が存在する.病因として眼圧以外の因子の影響,そしてアドヒアランスの影響が示唆される.複数の点眼薬による治療を確実に行い,眼圧は低下しているにもかかわらず視野障害が進行する症例には,血流改善や神経保護など新たな治療法が求められている.他方,アドヒアランスの低下もしくは変動のために視野障害が進行する症例には,複数の点眼薬による管理からの解放が必要となるだろう.
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