特集 生殖内分泌学と生殖免疫学の接点
特集にあたって
藤原 浩
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系医学類生殖・発達医学領域産科婦人科学教授
pp.10-10
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.30.03_0010-0010
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哺乳類の生殖臓器である卵巣や子宮は排卵,受精,着床などの一連の生殖現象に伴い内分泌系および免疫系の制御のもとに大きく変化をきたす。哺乳類の卵巣は黄体を形成して黄体ホルモンを分泌するように,一方で,子宮は胎芽が発生して胎児が成長する場として進化してきた。胚の着床から胎盤形成に至る過程では,胚−母体間の相互応答のもとに母体組織の再構築を伴いながら,母体にとって非自己である胚の子宮内での共生が可能となっている。共生を実現するには免疫寛容の誘導・維持という免疫学的な制御が必須であり,そのためには母体が胚の存在を認識することが前提となる。それらの胚の認識と胚−母体間の相互応答には内分泌系と免疫系がともに関わっており,互いに相補的な働きを担っているがその全貌は解明されていない。
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