特集 選択的性ステロイドホルモン受容体修飾薬
選択的エストロゲン受容体修飾薬の骨外作用 (2) 糖・脂質代謝
矢野 彰三
1
1島根大学医学部臨床検査医学講座准教授
pp.33-38
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.23.01_0033-0038
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「Summary」生理的濃度のエストロゲンは糖・脂質・エネルギー代謝に対してよい影響を及ぼす。ホルモン補充療法(hormone replacement therapy;HRT)のメタ解析では有意な内臓脂肪の減少,インスリン抵抗性の改善,糖尿病新規発症の抑制,高比重リポ蛋白コレステロール(high density lipoprotein-cholesterol;HDL-C)の増加,低比重リポ蛋白コレステロール(low density lipoprotein-cholesterol;LDL-C)の低下などが示されている。一方,ラロキシフェンやバゼドキシフェンでは,糖代謝に対する短期的効果は乏しいものの,HDL-Cの増加,LDL-Cの低下などHRTと同様の脂質プロファイルの変化がもたらされる。また,体脂肪量や脂肪分布にも好影響があると考えられる。選択的エストロゲン受容体修飾薬(selective estrogen receptor modulators;SERM)が糖新生やインスリン抵抗性に対してエストロゲンと同様の効果を示すか否かについては,今後さらなるエビデンスの蓄積が必要と思われる。「Key words」SERM,エストロゲン,糖代謝,脂質代謝
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