特集 選択的性ステロイドホルモン受容体修飾薬
選択的エストロゲン受容体修飾薬と骨粗鬆症
斎藤 充
1
1東京慈恵会医科大学整形外科准教授
pp.17-24
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.23.01_0017-0024
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「Summary」閉経後骨粗鬆症では,エストロゲン欠乏による骨吸収の亢進により骨の微細構造が破綻し,骨密度が低下する。同時に,エストロゲン欠乏による酸化ストレスの亢進により骨基質の主要な蛋白であるコラーゲンの老化を促進し,骨密度の低下とは独立した機序で骨折リスクを高める。骨密度以外の骨強度因子を骨質という。骨質の概念は,2000年に米国国立衛生研究所(national institutes of health;NIH)で定義され,その後,わが国の骨粗鬆症関連ガイドラインにも「酸化ストレスの増大によるコラーゲンの異常」が病態の柱の1つとして盛り込まれている。コラーゲンの劣化の本質は,骨コラーゲンの分子間架橋の異常である。架橋には善玉と悪玉があり後者はいわゆる終末糖化産物(advanced glycation end products;AGEs)である。選択的エストロゲン受容体修飾薬(selective estrogen receptor modulator;SERM)は,エストロゲン作用による骨吸収の抑制と骨質の改善を併せもつ薬剤である。「Key words」骨粗鬆症,骨質,SERM,コラーゲン,終末糖化産物,ホモシステイン
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