特集 小児感染症の今
小児における迅速診断キット
田村 大輔
1
,
三田村 敬子
2
1自治医科大学小児科学 准教授
2公益財団法人ライフ・エクステンション研究所付属永寿総合健診・予防医療センター
キーワード:
小児
,
迅速診断キット
,
イムノクロマトグラフィー法
,
コンボキット
Keyword:
小児
,
迅速診断キット
,
イムノクロマトグラフィー法
,
コンボキット
pp.29-36
発行日 2021年8月20日
Published Date 2021/8/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.39.08_0029-0036
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感染症治療の原則は,感染部位と病原微生物の種類により治療法の選択を迅速に行うことである。したがって,原因微生物特定のため微生物検査は可能な限り迅速に,かつ高い感度で報告されることが望ましい。特に小児の場合は,成人に比べて免疫学的にナイーブ状態であることが多く,①病原性や伝播力が強い微生物による感染症,②毒素産生性の微生物による感染症,③全身性播種性感染症(菌血症,敗血症など),④中枢神経系感染症などでは,治療とともに感染防御の立場から,検査結果報告までのturn around time(TAT)の短縮化が求められる1)2)。さらに,小児と成人では臨床経過が異なり,一般的に上気道炎程度で自然軽快するウイルス感染症が,小児では下気道症状を合併し,入院する頻度が高くなる。これら免疫学的応答や,その特性から,小児への迅速診断に対する臨床的意義は大きい。病原微生物の確定診断は,古典的な培養法や核酸増幅法による遺伝子検出法,あるいはペア血清を用いた抗体検査など多種にわたる。しかし,これらの検査手法や解析には,一部専門性を要することや,検査結果の確定までに時間を要すること,さらに費用も高額になることから,特別な症例を除き一般診療では普及していない。反面,手技が簡潔で結果報告にタイムラグがなく,さらに低コストで一定の信頼性が担保される迅速抗原検出試薬いわゆる迅速診断キットは,POCT(Point-of-Care Testing)として急速に普及してきた。「KEY WORDS」小児,迅速診断キット,イムノクロマトグラフィー法,コンボキット
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