連載 Medical Scope
疼痛治療と医療経済
五十嵐 中
1
1東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学 准教授
pp.65-68
発行日 2020年12月20日
Published Date 2020/12/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.38.12_0065-0068
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ここ数年間,オプジーボ®やキムリア®,さらにはゾルゲンスマ®など“とてもよく効き,なおかつとても高額”な治療薬が相次いで世に出たことで,「医療とオカネ」「クスリとオカネ」を取り巻く議論のムードは180度変わった。財政影響の大小にかかわらず,キムリア®やゾルゲンスマ®のような超希少疾病用の薬でも,単価が高ければ「値段に見合った価値なのか?」という説明責任として,オカネの話を求められる時代になった。オカネの話は一部の高額薬剤だけの問題ではない。今回の話題となる疼痛領域は,単価こそ安いが,ボリューム=人数が多い分,財政影響は無視できなくなる。致死的な疾患でない分,他領域と比較した重要性をアピールしていくためには,オカネの話も不可欠である。そして,さらに大事なポイントは,オカネ=費用対効果の話は「オカネ」を相手にしつつ,もう1つ大事な要素,すなわち「効き目」を同時に評価するという点である。本稿では,費用対効果評価=オカネと効き目のバランスをみる研究について,基本的な方法論と疼痛領域での活用事例を紹介したい。
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