連載 Medical Scope
HIF活性化薬の貧血・腎臓病・代謝異常への効果 ~ポストEPO製剤の開発~
山崎 智貴
1
1東京大学医学部付属病院腎臓・内分泌内科
pp.81-84
発行日 2019年4月20日
Published Date 2019/4/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.37.04_0081-0084
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低酸素誘導因子(hypoxia-inducible factor;HIF)は,細胞の低酸素応答を担う主要な転写因子である。HIFの活性化は内因性のエリスロポエチン(erythropoietin;EPO)産生や,体内での鉄利用を最適化することでヘモグロビン(Hb)値を上昇させる。そのためHIF活性化薬は腎性貧血の新規治療薬として,現在臨床第Ⅱ相・第Ⅲ相試験まで進んでおり,赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis stimulating agent;ESA)使用による副作用や高コストを回避し,ESA低反応性貧血を改善させることが期待されている。さらにHIF活性化薬は,さまざまな動物実験で,急性腎障害(acute kidney injury;AKI)を軽減させることや,肥満や糖・脂質異常症にも有益である可能性が報告されている。今後,網膜症や悪性腫瘍の進展を中心とした副作用に対する安全性や,長期使用の有効性についての検討が必要である。
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