増大号特集 睡眠の正しい理解を促す70のトリビア
Ⅴ章 治療薬の話題
Q69 抗うつ薬は不眠症治療に用いることができますか?
大塚 直亮
1
,
普天間 国弘
1
,
高江洲 義和
1
1琉球大学大学院医学研究科精神病態医学講座
キーワード:
トラゾドン
,
trazodone
,
不眠症
,
insomnia
,
睡眠薬
,
hypnotics
,
抗うつ薬
,
antidepressant
Keyword:
トラゾドン
,
trazodone
,
不眠症
,
insomnia
,
睡眠薬
,
hypnotics
,
抗うつ薬
,
antidepressant
pp.814-817
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670050814
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
A 抗うつ薬は不眠症への使用については科学的なエビデンスは限定的であり,適用は慎重に検討する必要があります。トラゾドンやミルタザピンなどの鎮静作用を有する抗うつ薬は,ヒスタミンH1受容体やセロトニン5-HT2受容体を拮抗することで眠気を引き起こし,睡眠時間を延長する効果があります。一方で副作用も多く報告されており,日中の傾眠や注意力の低下が問題視されています。不眠症治療においては,睡眠衛生指導などの基本的な非薬物療法と保険適用のある睡眠薬治療が基本ですが,上記で十分な改善を認めない場合かつ他の睡眠障害の除外ができた場合のみ使用を慎重に検討することが望ましいと考えられます。

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.