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高齢者の肺炎
小橋 吉博
1
1川崎医科大学呼吸器内科学 准教授
pp.66-69
発行日 2017年8月20日
Published Date 2017/8/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.08_0066-0069
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肺炎の死亡率は、抗菌薬治療の発達に伴い1970年代から下がり続けていたが、1980年代から再上昇に転じ厚生労働省が2016年1月1日に発表した人口動態統計の年間推計によると、2015年の肺炎による死亡数は12万3,000人で前年比3,350人増であり、2011年以降脳血管疾患を抜いて日本人の疾患別死亡者数の第3位となっている。死亡者のうち、65歳以上の高齢者が97%近くに達しており、その主な原因は、急速に進む高齢化と、高度に進歩した医療自体にあると考えられる。高齢者の肺炎は発熱、咳嗽といった典型的な呼吸器感染症状を呈さないことも多く、何となく活力がない、食欲がないといった漠然とした症状が肺炎の症状となりうることが多い。
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