特集 プリオン病:その実態に迫る
特集にあたって
水澤 英洋
1
1国立精神・神経医療研究センター理事長
pp.7-8
発行日 2017年2月20日
Published Date 2017/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.02_0007-0008
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プリオン病とはプリオンによって生じる致死性神経疾患であり,プリオン(prion)とはビリオン(ウイルス粒子)になぞらえた蛋白性感染粒子(proteinaceous infectious particle)の意味の造語である。ヒトでのクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease;CJD)の発症機序の研究から,まずGadjusekらによりクールー(kuru)と同様に伝達性(感染性)が証明され,羊のスクレーピー(Scrapie),kuru,CJDは伝達性海綿状脳症(transmissible spongiform encephalopathy;TSE)とされ,Gadjusekはノーベル賞を受賞した。その後,伝達(感染)因子の研究から,それが蛋白質のみ,すなわちプリオンであることがPrusinerらにより提唱された。このプリオン仮説は,当初,多くの議論を呼んだが,その後,広く受け入れられるに至り,TSEはプリオン病と呼ばれるようになり,この業績によってPrusiner博士はノーベル賞を受賞した。
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