特集 妊孕性温存
特集にあたって
吉村 泰典
1
1福島県立医科大学副学長/慶應義塾大学名誉教授
pp.10-10
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.23.04_0010-0010
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年間60万人以上ともいわれる悪性腫瘍患者のなかの約10%は,生殖年齢またはそれ以下の患者であり,手術療法,放射線療法,がん化学療法,骨髄移植法などの進歩により,その完全寛解率は著しく向上してきた。一方で治療により卵巣機能の廃絶に追い込まれることが多く,卵巣組織を温存して将来の妊孕能を確保しておく気運が高まってきている。従来より悪性腫瘍患者の治療の際には,妊孕性保持を目的として卵巣温存手術,卵巣に対して影響力の少ない化学療法の選択,卵巣を移動することによる放射線療法における照射部位の考慮などが実施されてきた。しかしながら,これらの効果は妊孕性温存という観点から十分とはいえないものがあった。
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