特集 時間の流れと産婦人科生物学―早すぎること,遅すぎること,長すぎること,短かすぎること―
Ⅱ.時間の流れと生殖内分泌学
4.時計遺伝子と生殖生理
小野 政徳
1
1東京医科大学産科婦人科学分野
キーワード:
概日リズム
,
時計遺伝子
,
生殖
Keyword:
概日リズム
,
時計遺伝子
,
生殖
pp.467-471
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000226
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要旨
体温,睡眠,血圧変動,ホルモン分泌などの生理機能は概日リズムの影響を受けている.そして概日リズムは,視床下部の視交叉上核にある中枢時計と,全身の組織にある末梢時計によって制御されている.概日リズムは,時計遺伝子群の周期的な発現によって形づくられ,時計遺伝子群の発現変化は約24時間周期で,その下流にある多くの標的遺伝子発現を変化させる.現代社会では,深夜までの残業や朝食欠食により,概日リズムと活動時間との間に不一致が生じる状態が常態化しており,生殖機能に影響を与える可能性に注目が集まっている.同時にこの影響を最小化する方策も求められている.本稿ではこれまでの時計遺伝子と生殖生理にかかわるレビュー,さらにわれわれの概日リズムの乱れと産婦人科疾患の発症との関連に関する研究を紹介したい.
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