特集 子宮体部悪性腫瘍の最前線
ねらい
宮城 悦子
1
1横浜市立大学医学部産婦人科学教室
pp.225-225
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000061
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国際的に子宮体がん(内膜がん)の罹患率は上昇しており,プラチナ製剤主体の従来の抗悪性腫瘍薬による化学療法はある程度有効ではあるものの,難治性の進行再発がんに対して新たに有効な2次治療を私たちは望んでいました.そのような状況で,複数の異なるがん種への治療薬として,免疫チェックポイント阻害薬が実臨床での使用が可能となり,高悪性度の体がんにも効果が期待されています.一方で,これまで遭遇したことのないパターンの多様な副作用にも注意が必要となります.治療現場では,ミスマッチ修復機能が欠損し,高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)腫瘍を有する子宮体がん患者には特に効果が期待できるという知見から,ペムブロリズマブの使用が開始されました.さらに,経口チロシンキナーゼ阻害薬のレンバチニブ抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用療法が「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体がん」の適応で承認されたことにより,子宮体がんの治療は新たな局面を迎えています.また,米国で開始された大型がんゲノムプロジェクトTCGA(The Cancer Genome Atlas)による網羅的な遺伝子,ゲノム,メチル化異常や関連する蛋白質発現異常についての解析は,子宮体がんの発生機序についても,従来のタイプⅠ,タイプⅡという考えからのパラダイムシフトを引き起こし,今後新たな治療法が登場することも期待されています.
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