特集 日常診療で出会ったら? アルコール・薬物・ギャンブル・ゲーム依存を知る
ねらい
樋口 進
1
1国立病院機構久里浜医療センター
pp.1358-1359
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000001582
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日常の臨床で遭遇する様々な疾患や健康問題の背後に依存が見え隠れすることがよくある.世界保健機関(WHO)は,アルコールは200以上もの疾病や典型的な外傷の原因となっていると述べている.本特集でも,大量飲酒による身体疾患について取り上げている.当然のことであるが,身体疾患だけでなく精神疾患の背後に依存が存在することも多い.一般にうつ病患者は高率にアルコール依存を合併しており,うつ病とアルコール依存の重症度に高い相関が見られる.これらの健康問題の改善のためには,断酒または減酒が必要である.しかし,多くの患者は,健康問題の治療には積極的だが,その原因になっている依存の治療には消極的である.一般に,ある疾患の治療を受けなければならない人のなかで,その治療を受けていない人の数や割合を治療ギャップと呼ぶ.依存はすべての精神疾患で最も治療ギャップが大きいといわれている.この治療ギャップを小さくするために,内科等の一般科から患者を専門医療機関につなげる,いわゆる連携の促進が求められてきている.しかし,様々な問題があり,現実的にはなかなか進んでいない.

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