特集 検体検査のポイントとピットフォール 診察室にこの1冊
B.確定診断に用いる検査
38.マイクロサテライト不安定性検査[遺伝子関連検査・染色体検査]
松下 一之
1
1千葉大学医学部附属病院検査部・臨床検査科
pp.334-339
発行日 2025年3月24日
Published Date 2025/3/24
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000001289
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Summary
1.マイクロサテライト不安定性(MSI)検査は,癌細胞などの体細胞のゲノム上の反復配列(マイクロサテライト)の不安定性を調べる検査である.
2.ミスマッチ修復(MMR)蛋白質(MLH1,MSH2,MSH6,PMS2)の固形癌の組織を用いた免疫染色は,固形癌の組織免疫チェックポイント阻害薬(ICI)であるペムブロリズマブ(キイトルーダ®)のコンパニオン診断(CDx)や常染色体顕性(優性)遺伝形式の遺伝性腫瘍であるLynch症候群の補助診断として保険収載されている.
3.MSI検査はゲノム上の特定の反復配列(マイクロサテライトやTR)をマルチプレックスPCRで調べる検査である.さらに免疫染色により病理組織学的にMMR蛋白質の発現を調べる方法もある.いずれも体細胞遺伝子検査であるが,Lynch症候群(遺伝性腫瘍)の診断にもつながるため遺伝医療のマインドも必要である.
4.近年保険収載されたNext generation DNA sequencer(NGS)を用いたがん遺伝子検査パネルでもMSIや腫瘍遺伝子変異量(TMB)はがんのバイオマーカーとして搭載されている.

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