特集 これでわかる高齢者COPD診療
ねらい
石井 正紀
1
1東京大学医学部附属病院老年病科
pp.1445-1445
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000001042
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呼吸器系は加齢に伴う影響を最も顕著に受ける臓器の1つとされており,高齢者では身体機能や免疫機能の低下が生じることに加え,様々な合併症に起因する脆弱性をベースとして,呼吸器疾患のリスクが増加する.そのなかでも,超高齢社会としてのわが国では,過去に喫煙したことがある年齢層が高齢世代となり,特に高齢者の呼吸器疾患として知られている慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の患者数が増加の一途をたどっている.しかしながら,未診断・未治療の患者数が多いのも現状であり,今後はますますCOPDの早期の診断と適切な治療が求められる時代となるであろう.とりわけ,呼吸器非専門医や若手の先生方にとっては,COPDの診断や治療は難しく感じられることもあるが,本特集では,呼吸器専門医に限らず,非専門医や若手の先生方も対象として,COPDにおける基本的な知識から,肺の老化や病理・遺伝的素因,最新の診断・治療法,在宅医療からエンドオブライフに至るまでの臨床や研究を総括的に提供することを目的としている.さらに,全身性疾患としてのCOPDにフォーカスし,肺炎やCOVID-19などの感染症,肺癌,間質性肺炎,喘息などの他の呼吸器疾患との合併だけでなく,動脈硬化や心不全などの循環器疾患やフレイル・サルコペニア,栄養障害の併存,さらには地域医療連携や多職種協働としての取り組みに関しても,診療科や職種の垣根を越えて解説する.
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