特別掲載 臨床スキルアップ 主訴とその他所見からの鑑別診断
第1回 息切れ
各論 3.循環器科の立場から
山本 一博
1
1鳥取大学医学部循環器・内分泌代謝内科
pp.1040-1041
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000915
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こんな症状をみたら
息切れは,多くの心疾患患者に認められる心不全症状の1つである.心機能障害による肺うっ血のために生じることが多いが,低心拍出による易疲労性を息切れとして訴える患者も少なくない.いずれにせよ,患者が息切れを主訴に外来を受診した場合,われわれ循環器内科医は,まずは心不全を念頭において診療を進めることになる.ここで留意すべき点は,心不全とは「何らかの心臓機能障害,すなわち,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義されているように病名ではないということである1).心不全か否かの診断と並行して,基礎心疾患の診断を進めなくてはならない.その理由は,基礎心疾患によって心不全の治療方針は異なるからである.
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