COVID-19と甲状腺疾患

Headline

1　新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に伴い，呼吸不全，心血管系障害，凝固異常，自己免疫異常等に加えて，甲状腺疾患（Basedow病，橋本病，無痛性甲状腺炎，産後甲状腺炎，亜急性甲状腺炎，非定型甲状腺炎，中枢性甲状腺機能低下症，non-thyroidal illness syndrome等）の発症が報告されている．

2　COVID-19に伴う甲状腺疾患の発症機序として，①SARS-CoV-2による甲状腺濾胞細胞の直接障害と，②炎症性サイトカイン等を介した間接的な甲状腺濾胞細胞の障害等が想定される．

3　また，COVID-19ワクチン接種後の甲状腺疾患（Basedow病，亜急性甲状腺炎，無痛性甲状腺炎等）の発症も報告されている．

4　既存の甲状腺疾患や甲状腺機能異常症とCOVID-19罹患率，重症化率，死亡率の関連はないことが報告されているものの，長期予後は不明であり，今後の検討を要する．