海外文献の紹介
一般小児科医の自閉症臨床への視点
榊原 洋一
1
1お茶の水女子大学名誉教授
pp.233-233
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.34433/ch.0000000081
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説明するまでもなく自閉症スペクトラム障害(ASD)は,幼少期に発症顕在化する小児医療におけるもっとも重要な精神疾患の一つである。有病率は研究者や地域によって多少異なるが,アメリカでは子ども全体の2.3%であるとされている。1歳半~2歳から使用できるスクリーニング尺度が開発されており,理論的には早期発見,早期治療が可能であるが,アメリカでのASDの平均診断時年齢は4~5歳であるとされている。ASDのモニター研究では,ASDと診断される子どもの85%は3歳までに保護者が子どもの発達について懸念を抱いていることがわかっているが,3歳までにきちんとした発達検査が行われるのは全体の42%に過ぎない。確定診断が遅れる理由として,初診を担当することの多い一般小児科医が確定診断に至るまでの筋道にさまざまな困難があることが予想される。
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