チャイルドヘルス 27巻12号 (2024年12月発行)

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特集　外国人の子どもを支援する～SDGsの視点から～

企画の言葉高橋　謙造 27巻12号 , 2024年12月 , pp.909-909

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　2024年初頭の段階では，2022年の統計が最新です。この統計によれば，日本全体の出生数は約77万人であり，そのうちの約1.98%となる15,271人は，少なくとも親の一方が外国人です。この子どもたちは，日本で育っていき，やがては日本を支える一員となっていく可能性があります。一方で，保健医療の現場をみてみると，外国人の親が外来に子どもを連れてくる場面は日常化しており，外来診療の場だけではなく入院施設や新生児医療の現場でも同様の事態が生じています。そこでは多言語対応だけではなく，その親が育ってきた文化環境への配慮も求められます。かつての日本の医療現場では，患者側が日本語を話し，理解することが当然のように求められてきました。しかし，最近では，多言語対応は当たり前のように求められるようになってきています。2015年以降，SDGsが認知されるようになって以来，多様性が重視されるようになり，異文化もより柔軟に受容していくべきという論調が主流になりつつあります。このような課題が明確化するなか，ITの発達に伴い，簡単な翻訳ツールなどはスマートフォンのアプリでも使えるようになってきています。

1　“Leave No One Behind” としての外国人の子どもへの対応の課題高橋　謙造 27巻12号 , 2024年12月 , pp.910-912

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少子化が進む日本において，外国籍の子どもたちも保健医療の対象として平等に扱っていくべきです。ここにおいて，保健医療従事者は，言語，文化の違いや保険制度の誤解などの課題に直面します。特に，言語の壁や文化的な誤解が大きな障害となり，正確な医療提供が困難になる場合があります。“Leave No One Behind” の理念の下，だれ一人取り残さない支援のためのあり方を本稿では概観します。

2　日本における子どもの多国籍化・多様化の現状とチャイルドヘルスのあり方～親外国人の子どもの出生動向の分析から～李　節子 27巻12号 , 2024年12月 , pp.913-918

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日本における多民族化・多様化が進んでいます。在日外国人の母子保健は喫緊の課題です。言葉の壁が立ちはだかるハイリスクな母と子を誰一人取り残さず，保健医療福祉にどのように救い上げ，支援に繋げるのかが問われています。

3　外国語併記の母子手帳の活用中村　安秀 27巻12号 , 2024年12月 , pp.919-924

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外国語併記の母子手帳は，外国人医療にかかわる医療者にとっても，日本で暮らす外国人にとっても非常に有用です。DEI（Diversity, Equity, and Inclusion）の特性をもち，外国にルーツをもつ子どもの健康とウェルビーイングに欠かせないツールです。

4　多言語サービスの現状①～医療通訳サービス～南谷　かおり 27巻12号 , 2024年12月 , pp.925-927

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小児科で外国人患者を診る場合，患者自身またはその家族の日本語が不自由だと細かな点での意思疎通が図れません。このような場面では，医療用語や診察室での会話に慣れている医療通訳士の介入が望ましいと考えます。

5　多言語サービスの現状②～市販の機器を活用した対応と課題～西澤　美紀 27巻12号 , 2024年12月 , pp.928-930

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当科では多言語対応としてポケトークを使用しています。ポケトーク使用のメリットとして，①操作が簡便，②低コスト，③簡単な内容であれば問題ない，デメリットとして，①日本語に工夫が必要，②タイムラグがある，③記録を残せない，④難しい内容への対応は不十分，があげられます。

6　多言語サービスの現状③～専用通訳機器を活用した対応と課題～久住　英二 27巻12号 , 2024年12月 , pp.931-933

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日本では日本語の流暢でない人に医療通訳を提供する義務は医療機関に課せられていません。一方，医療通訳は患者さんの医療安全，また逆に医療訴訟から医療機関を守るためにも必須となってきています。現状を解説します。

7　「やさしい日本語」の外国人医療への活用石川　ひろの 27巻12号 , 2024年12月 , pp.934-937

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「やさしい日本語」とは，難しい言葉を言いかえるなど，相手に配慮したわかりやすい日本語です。「やさしい日本語」で話す医療者が増えることは，だれもが安心して医療を受けることのできる社会をつくっていくうえで重要です。

8　新生児医療の現場から～宗教，風習も含めた対応と課題～関　和男 , 堀口　晴子 27巻12号 , 2024年12月 , pp.938-939

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外国人の新生児医療では，文化的・宗教的背景，経済負担，法的問題など多様な課題があります。医療現場は柔軟な対応が求められ，大使館やソーシャルワーカーとの連携が重要であり，今後は支援体制の強化が必要です。

9　外国人の子どもの診療現場から～現状と課題～坂本　昌彦 27巻12号 , 2024年12月 , pp.940-943

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日本における外国人の子どもの入院診療には，文化的配慮や言葉の壁など多くの課題があります。本稿ではワクチン接種やアレルギー診療の課題にも触れながら，遠隔通訳システムの活用や支払い方法の工夫による未収金予防など，現場で求められる対応について紹介します。

10　自治体としての外国人の母子保健対応渡邉　洋子 27巻12号 , 2024年12月 , pp.945-948

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在留外国人は，住民として自治体から母子保健サービスを受けることができます。東京都ではNPO法人からの医療通訳派遣が徐々に可能になってきていますが，各自治体が翻訳・通訳ツールや，医療通訳派遣の予算を確保することが重要です。

11　みんなの外国人ネットワーク～ヘルスプロジェクトの経験～斉藤　典子 , 西原　三佳 27巻12号 , 2024年12月 , pp.949-952

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母子保健サービスは，在留資格や国籍などを問わずだれもが受けることができます。しかし，外国籍の方のなかには基本的サービスを受けられない方もいます。新型コロナウイルスワクチン接種の事例から，保健医療サービスへのアクセスについて考えてみます。

12　外国人にも優しい子ども食堂フェルナンド　ダナンジ 27巻12号 , 2024年12月 , pp.953-956

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福島県いわき市で開催している「うちごう子ども食堂」。子ども食堂を通して，地域住民や外国人家族，子どもたちのネットワークをつくり，多様な背景をもつ人々が互いを認め合い共生していくことのできる社会をめざしています。

Myオピニオン

子どもも大人もしんどくない子育てのためにきしもと　たかひろ 27巻12号 , 2024年12月 , pp.905-905

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　子どもがTシャツを後ろ前に着ているのを見て，微笑ましく思いつつ「反対になってるよ」と声をかける。「ほんまや」とすぐに直す子もいれば，指摘されて嫌そうな顔をする子もいて，せっかく教えてあげたのに，なんて思ったりする。

連載　児童精神科医が伝えたい子どものメンタルヘルスのこと・第12回【最終回】

小児科と精神科との連携関　正樹 27巻12号 , 2024年12月 , pp.958-960

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成長とともに，子どものこころは揺れ動きます。ふとしたことから，メンタルヘルスの不調に陥ってしまう子も少なくありません。そんな子どもたちのメンタルヘルスについて，児童精神科医の視点から関先生にやさしく解説していただきます。

連載　おさえておきたい！　子どもの歯科事情・第12回

乳歯が生える頃の心配ごと佐々木　明彦 27巻12号 , 2024年12月 , pp.961-963

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子どもの歯は大人の歯とどのような違いがあるのでしょう？　小児歯科専門医の佐々木先生に，子どもの歯科に関する動向や気になる話題について解説いただきます！

連載　患者指導がぐっと楽になる！　動機づけ面接のすすめ・第12回

親御さんから子どもさんへの受動喫煙～親御さんにどのようにお話ししますか～竹本　恭彦 27巻12号 , 2024年12月 , pp.965-967

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最近注目されている「動機づけ面接」，実際どのようなものかご存じですか？　本連載では，動機づけ面接の基本や実際の手法等をわかりやすく解説いただきます。読めば明日から役立てていただけます！

連載　読書で育む共感力と探究心・第12回【最終回】

探究学習⑥　この地球を共有するということ～自然資源，人権や世界平和に関する本～熱田　幸子 27巻12号 , 2024年12月 , pp.968-973

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子どもたちはさまざまな場所で本と出合います。学校の図書室もそのひとつ。日英バイリンガル教育そして幼小中高一貫教育などを行っている学校の図書室で，子どもたちはどんなふうに本と向き合っているのか，学校司書の視点から熱田先生にお話いただきます！　

連載　教えて！　あなたの好きなこと

教えて！　あなたの好きなこと 27巻12号 , 2024年12月 , pp.974-975

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子どもたちはどんなことに興味をもっている？　読者の皆さまも気になるのではないでしょうか？　アンケートに回答してくれた子どもたちのリアルな声をお届けします！　子どもとコミュニケーションをとる際の参考にしていただけましたら幸いです。

育児Q&A

鼻をほじるのをやめない岡藤　郁夫 27巻12号 , 2024年12月 , pp.976-976

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Q　5歳になる息子は，気がつけば鼻をほじっています。先日は鼻の中を傷つけてしまったようで，鼻血が出てしまいました。本人も痛かっただろうしこれで懲りるかと思いきや，やめる気配がありません。どうやったらやめさせることができるでしょうか？

海外文献の紹介

知的障害をもつ母親の子どもは，健診や予防接種の機会が少ない榊原　洋一 27巻12号 , 2024年12月 , pp.977-977

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　幼少時の生育環境のなかで，親（特に母親）の影響は極めて大きい。これはかつて信じられていた「3歳児神話」としての母親の影響という意味ではないが，言語獲得，社会性獲得など子どもの発達全般については真実である。たとえば母親の産後のうつが，子どもの言語発達に負の影響を与えることなどはその代表的な例である。

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目次 27巻12号 , 2024年12月 , pp.906-907

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本号掲載広告一覧 27巻12号 , 2024年12月 , pp.908-908

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information 27巻12号 , 2024年12月 , pp.957-957

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投稿について 27巻12号 , 2024年12月 , pp.979-979

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アンケートシート 27巻12号 , 2024年12月 , pp.980-980

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バックナンバー 27巻12号 , 2024年12月 , pp.981-983

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次号予告／編集後記 27巻12号 , 2024年12月 , pp.984-984

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基本情報

チャイルドヘルス
27巻12号
(2024年12月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：1344-3151 診断と治療社

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投稿規定

チャイルドヘルス 27巻12号 (2024年12月発行)

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