特集 消化管疾患と感染の最前線
Helicobacter heilmannii(NHPH)感染と胃疾患
中村 正彦
1
,
村山 琮明
,
松井 英則
1北里大学 大村智記念研究所感染症学
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
胃炎
,
胃潰瘍
,
胃疾患
,
胃腫瘍
,
抗細菌剤
,
十二指腸潰瘍
,
人獣共通感染症
,
多剤併用療法
,
Helicobacter heilmannii
,
感染症伝播
,
リンパ腫-辺縁帯B細胞性
,
除菌療法
Keyword:
Anti-Bacterial Agents
,
Drug Therapy, Combination
,
Zoonoses
,
Duodenal Ulcer
,
Stomach Diseases
,
Stomach Neoplasms
,
Gastritis
,
Helicobacter Infections
,
Disease Transmission, Infectious
,
Lymphoma, B-Cell, Marginal Zone
,
Helicobacter heilmannii
,
Stomach Ulcer
pp.917-922
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00697.2022262920
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<Headline>1 Helicobacter pylori(H.pylori)と類縁の菌であるHelicobacter heilmanniiは、最近はnon-Helicobacter pylori Helicobacter(NHPH)とよばれることが多く、多くの種からなることがわかってきたが、ヒトで感染率が高いのは、Helicobacter suis(H.suis)とHelicobacter heilmannii sensu stricto(H.heilmannii ss)である。いままでは、H.pyloriの影で目立たなかったが、診断法の進歩に伴い認識されつつある。2 感染経路としては、H.suisはブタ、H.heilmannii ssはイヌ、ネコからが主体と考えられる。いずれも自然宿主はこれらの動物であり、ヒトには散発的に感染すると考えられている。3 NHPHの正確な頻度、感染率は、いまのところ不明だが、上部消化管疾患罹患患者においては1%以下と考えられている。4 胃疾患のうち、NHPHとの関連が特に注目されるのは、鳥肌胃炎、慢性胃炎と胃MALTリンパ腫であり、特発性胃十二指腸潰瘍では半数以上陽性とする報告もある。胃癌では陽性症例が散見されている。現在は、病理あるいは内視鏡検査などで疑われ、PCRにより診断される場合が多いが、血清、糞便を用いた抗原検査も近い将来に利用可能になる予定である。5 NHPHの除菌療法としては、現時点ではH.pyloriの一次除菌が十分有効と考えられるが、現在は保険適用外であり、自費診療となる。耐性菌の率はいまのところかなり低い。
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