Special feature ハイリスクと闘う新生児医療の感染対策
■Basic risk 新生児医療の特殊性
―知っておくべきハイリスクの理由
❶新生児の病態と最新医療技術
-―高度医療に潜む感染リスク
大木 康史
1
1桐生地域医療組合桐生厚生総合病院 小児科 筆頭部長
pp.270-274
発行日 2021年10月15日
Published Date 2021/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000261
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新生児医療の場である新生児集中治療室(NICU:Neonatal Intensive Care Unit)に入院する新生児の病態は,子宮外生活への適応不全,早産による臓器の未熟性,感染症,先天性疾患,母体疾患・子宮内環境の影響などがある。子宮外生活への適応不全は,本来児の臓器に問題はないものの,出生過程に伴う子宮外生活への適応に障害が発生した場合である。適応不全は重症新生児仮死を除いては比較的短期間で軽快することが多い。未熟性に伴うものは,各臓器の未熟さが存在し,機能が成熟するまで医療による補助が必要な状態である。児が未熟であるほどNICUでの診療を必要とする期間は長期になる。感染症は子宮内あるいは出生後に侵入した病原体により発症する。先天性疾患は,一般的には細胞機能を含む児の臓器に問題があり,胎盤から離脱することで出生後に臓器機能不全が明確化するものであるが,18トリソミーなどの重症染色体異常症や胎児水腫など,胎盤機能が保たれていても子宮内で容態が悪化する場合がある。さらに母体疾患・子宮内環境の影響としては,母体の有する抗体の移行,母体に投与されている薬剤の影響や胎盤機能の異常などによるものが該当する。以上を網羅すると非常に多岐にわたる疾患を含み,軽症から重症まで,また治療可能なものから姑息的な治療に限定されるものまで幅広く,入院期間は病態に依存することが理解できる。
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