特集 トラブル回避で感染症予防 感染制御のための皮膚管理
患者別 皮膚トラブルの実例から皮膚管理を学ぶ トラブル回避と感染症予防のポイント がん患者
菊地 義弘
1
1宮城県立がんセンター 感染対策室
キーワード:
易感染性宿主
,
中心静脈カテーテル法
,
留置カテーテル
,
抗腫瘍剤
,
腫瘍
,
穿刺
,
皮膚炎-放射線
,
皮膚疾患
,
放射線療法
,
帯状疱疹
,
免疫不全症候群
,
チーム医療
Keyword:
Antineoplastic Agents
,
Catheterization, Central Venous
,
Catheters, Indwelling
,
Immunologic Deficiency Syndromes
,
Herpes Zoster
,
Neoplasms
,
Patient Care Team
,
Radiotherapy
,
Punctures
,
Radiodermatitis
,
Skin Diseases
,
Immunocompromised Host
pp.230-236
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.34426/J04878.2018337363
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はじめに
がんは日本人の死因の第1位であり,生涯のうち約2人に1人が罹患すると推計されている1)。こうしたことから,本邦においては,『がん対策推進基本計画』1)が策定され,その計画のもと,近年は科学的根拠に基づいた様々な治療や支援が行われるようになってきた。その一方で,治療に伴う多様な有害事象がみられるようになり,そのひとつに皮膚障害がある。皮膚障害は,皮膚のバリア機能の障害2)であり,感染症を招くことにつながる。がん患者は,他にも後述する免疫不全の構成要素2)が重複して存在することが多く,易感染宿主といえる。
このようながん患者に,皮膚障害から感染症が生じると,日常生活への影響,身体・精神的苦痛に留まらず,ときにがん治療の中断を余儀なくされる事態になる。そのため,がん患者の感染症対策としての皮膚管理は,がん治療の完遂に寄与し,がん診療・看護において非常に重要である。 本稿では,筆者がこれまで関わった,がん患者の皮膚障害について,感染症対策の立場から概説する。
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