特集 多様化する医療現場にどう適合するか スタッフのための職業感染対策
医療安全製品を正しく使用するための知識 安全機構付き鋭利器材の最新知見 『安全』に隠れたピットフォールを踏まえて
貫井 陽子
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院 感染制御部
キーワード:
機器と資材用品
,
感染予防管理
,
注射針刺傷
Keyword:
Equipment and Supplies
,
Needlestick Injuries
,
Infection Control
pp.301-304
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/J04878.2018006174
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はじめに
米国では2000年11月に連邦法で針刺し防止法が制定されたことを契機として,安全器材が急速に普及し,2003年には翼状針の96%,静脈留置カテーテルの92%が安全器材に切り替わったと報告されている。国内においても2011年6月に医療機関などにおける院内感染対策について厚生労働省の通知が出され,職業感染防止の具体的な推奨について,『注射針を使用する際,針刺しによる医療従事者等への感染を防止するため,使用済みの注射針に再びキャップするいわゆる「リキャップ」を原則として禁止し,注射針専用の廃棄容器等を適切に配置するとともに,診療の状況等必要に応じて,針刺しの防止に配慮した安全器材の活用を検討するなど,医療従事者などを対象とした適切な感染予防対策を講じること。』と公表された。これを受け現在全国で様々な取り組みが進んでいる。職業感染制御研究会の国内92施設からの報告によると,2014年の安全器材導入状況は,2012年と比し縫合針以外はすべての器材で導入率が上昇を認め,翼状針および静脈留置針では100%を達成した(図1)1)。一方,国内での安全器材の普及に伴い「安全器材使用に関連した針刺し切創」という新たな問題も発生しており,すべての針刺し切創のおよそ2割を占める(図2,3)1,2)。これらの現状および必要な感染対策について本稿で述べる。
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