地域生活を送るうえで65歳問題に直面した視覚障害単一障害者の2例

Two Cases of Visually Impaired Persons Facing Problems at Age 65 in Community Life.

はじめに

障害の種類を問わず，法的な優先原則により障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを利用していた人は，65歳を迎えると介護保険法に基づく介護保険サービスの利用が優先されることになる．その結果，介護保険におけるサービス支給量をはじめとする支給内容の大幅な変化や，利用者の背景によっては新たな利用者負担が発生する．これらの状況は「65歳問題」として注視されている 1）．

サービス支給量が不十分な場合には，上乗せサービスといって，介護保険の給付対象サービスの内容を拡充することができる．また，横出しサービスといって，介護保険の対象外の人や内容に対して新たに提供される支援もある．ただし，これらのサービスは地域支援事業として実施されており，自治体によって対応が異なっている．さらに，介護保険にはなく障害福祉サービスのみに含まれているサービスを利用する場合には，併給制度によ

り，介護保険を利用していても必要時に障害福祉サービスにしかないサービスを利用することができる．しかし，実際には障害福祉サービスから介護保険サービスへの移行や，併給制度の利用は必ずしも円滑ではない 2-3）．

今回，ロービジョンケアを受けた視覚障害単一障害者で，障害福祉サービスから介護保険サービスへ移行後に地域生活を送るうえで困難が生じた2例を経験したので報告する．