最新版! 摂食嚥下機能評価―スクリーニングから臨床研究まで
12.針筋電図
青柳 陽一郎
1
1日本医科大学大学院医学研究科リハビリテーション学分野
キーワード:
嚥下関連筋
,
オトガイ舌骨筋
,
輪状咽頭筋
,
神経原性変化
,
筋原性変
Keyword:
嚥下関連筋
,
オトガイ舌骨筋
,
輪状咽頭筋
,
神経原性変化
,
筋原性変
pp.514-520
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034050514
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
背景と目的
神経伝達および筋収縮は,心筋の収縮と同様に,生体内で生じる電気現象の一種である.これらの現象は,心電図と同様に,針筋電図や表面筋電図を用いて記録できる.リハビリテーション医学領域では, 研究面はもとより日常診療においても, 電気生理学的検査が重要な役割を果たしている 1).リハビリテーション医学領域でよく用いられる電気神経生理検査は,針筋電図検査,表面筋電図検査,神経伝導検査である.本稿では,嚥下関連筋を対象に行われる電気神経生理検査の中でも,古典的かつ有用性が高い針筋電図検査の手順,評価,解釈について解説する.神経生理学の基礎は必要最小限にとどめ,検査の実用的な側面に重点を置く.
針筋電図検査の主な目的は,①筋力低下を反映する運動単位電位に異常があるかどうかの判定,②異常があるとすれば,その原因が末梢神経の障害(神経原性変化)なのか,筋肉そのものの障害(筋原性変化)なのか,中枢性の障害なのかを判断する,さらに③嚥下関連筋のみでなく四肢の筋を合わせて検査することにより,補助診断として用いることができる 2).

Copyright© 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All rights reserved.