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連載によせて
わが国は世界でもっとも高齢化が進み,医療環境のマンパワー不足が懸念されています.これまでのように各職種が専門分野のみに特化しては,質の高い医療を提供することができない時代を迎えています.具体的には,管理栄養士が患者の血液検査や薬剤情報,リハビリテーションの目的や実践,そして画像情報を含めた多角的視点で評価し,患者へ説明できる「一人多役」を熟す能力が期待されています.血液検査と同じように画像検査を栄養アセスメントに活用することで,質の高い栄養評価が実現します.多職種カンファレンスにて情報共有を行い,管理栄養士が医療職の一人として患者・家族に寄り添った種々の情報提供を経ることによって両者の信頼関係が醸成され,栄養指導の効果につながることが期待されます.また,2024年度の診療報酬改定では,栄養評価にGLIM基準の導入を促す指針が示されました.このGLIM基準の質的条件に筋量の評価が欠かせません.筋量は,対外的に視認することが困難であり,最近ではインピーダンス法を用いた身体構成成分分析が活用されています.しかるに,急性期病院の高齢入院患者は,炎症にともなう浮腫や心疾患,腎疾患を併発していることが多く,体液アンバランスの状態ではインピーダンス法による筋量の評価は困難です.そのため,dual energy X-ray absorptiometry(DXA)やCT,MRI,超音波を用いた骨格筋機能評価と臨床応用にかかわる報告が増加しています.
栄養の分野においてもこれら画像検査にかかわる学問を取り入れ,管理栄養士も画像の判読や意義を理解して,これまで以上に一人多役を熟す管理栄養士として臨床現場での活躍を願っています.黒川先生が執筆される本書での「NSTスタッフのための画像診断セミナー」シリーズはこのような目的達成のための手引きとなる貴重な企画であり,シリーズを読破し画像に対する知識を深められることを期待しています.
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