FORUM 書評
『微生物世界の探究 生命誕生の謎へと至る四〇〇年』(山本太郎著)
鈴木 哲也
1
,
丹羽 正美
2,3
1京都大学学術出版会元専務理事・編集長
2長崎大学名誉教授
3前長崎大学大学院医学系研究科教授
pp.186-187
発行日 2026年1月10日
Published Date 2026/1/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu296020186
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- 文献概要
科学史を学ぶことの重要性を近しく教えていただいた佐藤文隆先生が,歴史は今日時点の到達点から振り返ってはならない,それでは「勝ち組の歴史観」に陥ってしまい,当時の(またそれまでの)人の営みの連鎖・相互作用としての科学という,重要な視点を曇らせてしまうと常々話していたが,その点で,まさに優れた歴史記述と思った.(今日で言う)生物学分野だけでなく,その当時の枠組み,枠組みを破ろうとする幅広い人々の営みと相互作用,さらには,実際にレーウェンフックの顕微鏡を著者ご自身が覗いてみて,その観察の難しさを体感したという,「歴史的現場主義」とでも言うべき態度にも感心した.本質的なフィールドワーカーなのだなと.
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