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第5土曜特集 心不全診療の未来戦略――ゲノム,AI,多臓器連関が拓く新時代
多臓器連関という視点から捉える心不全
精神的ストレスによる循環器疾患の発症機序の理解に向けて
Toward understanding the pathogenesis of cardiovascular disease caused by mental stress
中村 和弘
1
Kazuhiro NAKAMURA
1
1名古屋大学大学院医学系研究科統合生理学
キーワード:
ストレス
,
神経回路
,
循環器疾患
,
情動
,
大脳皮質・辺縁系
Keyword:
ストレス
,
神経回路
,
循環器疾患
,
情動
,
大脳皮質・辺縁系
pp.825-829
発行日 2025年11月29日
Published Date 2025/11/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090825
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精神的ストレスを慢性的に受けると,循環器疾患の発症リスクが高まることは疫学研究からよく知られているが,脳源性のストレスシグナルを循環器疾患につなげる病態生理学的メカニズムはまだ理解が進んでいない.筆者らは近年,脳の中で精神的ストレスや情動を処理する大脳皮質の “心” の神経回路と,“身体” の調節を担う視床下部とをつなぐ “心身相関” の神経路を発見した.そして,最先端の神経科学的手法を用いてこの神経路を人為的に制御することにより,脳から循環器系へ出力されるストレスシグナルを長期的に亢進あるいは抑制することができるようになった.筆者らは現在,この手法を駆使して脳源性のストレスシグナルが循環器系の機能へ与える影響を解析することにより,精神的ストレスによる循環器疾患の発症機序の解明を目指している.本稿では,精神的ストレス反応を惹起する脳の神経回路を概説し,精神的ストレスによって起こる循環器疾患の研究の展望を述べる.

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