連載 イチから学び直す医療統計・第19講
メタアナリシス
長島 健悟
1
,
宮﨑 直己
2
,
佐藤 泰憲
3
Kengo NAGASHIMA
1
,
Naoki MIYAZAKI
2
,
Yasunori SATO
3
1慶應義塾大学病院臨床研究推進センター生物統計部門
2がん研究会有明病院先進がん治療開発センターデータサイエンス部
3慶應義塾大学医学部生物統計学
キーワード:
系統的レビュー
,
メタアナリシス
,
固定効果モデル
,
変量効果モデル
,
予測区間
Keyword:
系統的レビュー
,
メタアナリシス
,
固定効果モデル
,
変量効果モデル
,
予測区間
pp.606-615
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295070606
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メタアナリシスは,複数のランダム化比較試験の結果を統計的に統合し,より信頼性の高い結論を導き出すための手法である.質の高いメタアナリシスを実施するには,まず質の高い系統的レビューが前提となり,そのためには事前に詳細な研究計画を作成し,それに基づいて論文を網羅的かつ体系的に収集・評価する必要がある.
本稿では,系統的レビューにおける統計解析の中核をなすメタアナリシスの基本的な実施手順を概説する.特に,メタアナリシスで広く用いられる固定効果モデルと変量効果モデルの違いに焦点を当てる.変量効果モデルは,研究間のばらつき(異質性)を考慮したモデルであり,一般的な臨床研究の統合においては変量効果モデルが推奨される理由を述べる.さらに,異質性の程度を評価するための統計的指標や,今後の研究結果を予測する予測区間の重要性を詳述し,結果の信頼性に影響を与える出版バイアスの評価と対処法についても解説する.これらの知識は,メタアナリシスの結果を正しく批判的に吟味するために不可欠である.

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