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連載 医療分野におけるブロックチェーンとNFTの活用・Vol.8
日本における医療データの生成AI利用の課題およびブロックチェーンが拓く「患者主権」の医療データ流通基盤
Challenges in generative AI use for medical data in Japan and blockchain-enabled patient-centric healthcare data distribution infrastructure
落合 渉悟
1
Shogo OCHIAI
1
1臨床医工情報学コンソーシアム関西
キーワード:
サイロ化
,
患者主権
,
難病情報の市場
,
自律分散型組織(DAO)
Keyword:
サイロ化
,
患者主権
,
難病情報の市場
,
自律分散型組織(DAO)
pp.538-545
発行日 2025年11月8日
Published Date 2025/11/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295060538
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生成AIによる医療革新は,医療機関がデータを管理する「機関中心主義」によって阻害されている.この構造は,データのサイロ化と患者の信頼欠如を招き,イノベーションの深刻な足枷である.国内の特定組織による中央集権的な管理や,海外の巨大プラットフォームへの依存は,新たなリスクを生む「罠」に他ならない.
この課題の解決策は,特定の管理者を不要とする分散型アーキテクチャへの移行である.ブロックチェーン,NFT,暗号技術を組み合わせ,データへのアクセス権を患者自身が主体的にコントロールすることで,真の「患者主権」を実現する.この基盤はオープンな国際標準技術に準拠するため,政治的に中立で特定の事業者による独占を許さない.
これにより,研究者と患者が直接繋がる透明な「市場」が創出され,希少疾患などの研究開発は加速する.スマートコントラクトは公正な価値分配を,DAOという組織形態は患者コミュニティのエンパワーメントを可能にする.この変革は,日本が国際競争力を確保するための国家戦略である.

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