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特集 感覚器フレイルの予防と対策
嗅覚フレイル
-――その評価と対策
Olfactory impairment and frailty
三輪 高喜
1
Takaki MIWA
1
1金沢医科大学名誉教授
キーワード:
嗅覚低下
,
フレイル
,
神経変性疾患
,
うつ病
Keyword:
嗅覚低下
,
フレイル
,
神経変性疾患
,
うつ病
pp.1040-1045
発行日 2025年9月13日
Published Date 2025/9/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294111040
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嗅覚は視覚や聴覚と同様,加齢とともに低下し,低下した機能の回復は望めない.視覚や聴覚と異なるのは,本人が嗅覚低下に気づきにくいことと,眼鏡や補聴器のような補装具がないことである.嗅覚は五感のなかでも軽視されがちであるが,嗅覚が低下すると食品の腐敗やガス漏れ,煙に気づかないなど,危険と遭遇する機会が増え,食事がおいしくない,衛生面に不安が残るなど,生活の質の低下をきたす.嗅覚低下は神経変性疾患の発病前あるいは早期の症状でもあるため,嗅覚同定検査は神経変性疾患の早期発見に有用である.また,嗅覚低下はうつ病とも関連し,食欲の低下,認知機能の低下などとともにフレイルを招き,その結果,死亡率が増加する.嗅覚低下は回復の可能性が低く,予防が重要である.予防としては,危険因子である鼻副鼻腔疾患,動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病,喫煙の回避と,週に1日以上の運動,嗅覚トレーニング(OT)が有効とされている.

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