Japanese
English
特集 感覚器フレイルの予防と対策
聴覚フレイル
-――その評価と対策
Auditory frailty
――Its assessment and interventions
太田 有美
1
Yumi OHTA
1
1国立病院機構大阪医療センター耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
加齢性難聴
,
認知機能低下
,
社会的孤立
,
補聴器
,
人工内耳
Keyword:
加齢性難聴
,
認知機能低下
,
社会的孤立
,
補聴器
,
人工内耳
pp.1036-1039
発行日 2025年9月13日
Published Date 2025/9/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294111036
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
高齢者における難聴は,認知機能低下に影響するだけでなく,社会的孤立や抑うつを引き起こす要因ともなる.直接生命に影響を及ぼすものではないが,健康寿命には影響するフレイルであるといえる.したがって,高齢者の難聴に積極的に介入することは,健康寿命を延ばすことにつながる.高齢者の難聴で最も多い加齢性難聴の病態として,内耳機能低下,聴覚に関する中枢機能の低下が知られている.小さな音が聞こえなくなるだけでなく,言葉の内容が聞き取れないという症状も生じる.まず自分の聴力に関心を持ち,補聴器も積極的に活用することが必要である.補聴器購入に際しては,公的な費用補助制度がある.重度難聴で補聴器装用効果が十分でない場合は,人工内耳も検討する.補聴器も人工内耳も安定して使えるようになるまで時間がかかるため,専門家のサポートも重要である.また,難聴者本人の補聴器・人工内耳装用だけでなく,周囲の理解と環境整備も必要である.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.