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第1土曜特集 健康危機への備えと対応――パンデミックと能登半島地震を踏まえた社会とシステムのあり方
災害対応・防災の視点から
総合的な危機管理
Toward multi-hazard and multi-phase emergency management
牧 紀男
1
Norio MAKI
1
1京都大学防災研究所都市防災計画分野
キーワード:
レジリエンス
,
マルチ・ハザード
,
マルチ・フェイズ
Keyword:
レジリエンス
,
マルチ・ハザード
,
マルチ・フェイズ
pp.87-90
発行日 2025年4月5日
Published Date 2025/4/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293010087
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現在,自然災害の防災の分野において,社会の回復力にも着目した新たな防災力のあり方として “レジリエンス” という考え方に基づく対策が進められるようになっている.社会のレジリエンスに着目すると,自然災害だけでなく,感染症も含めたマルチ・ハザードでの防災を考えることが可能になる.ハザードの種類によらないマルチ・ハザードでの対応は,世界的にみると危機管理の主流である.さらに事前の対策,災害対応だけでなく,復旧・復興も含めたマルチ・フェイズでの危機管理も進められるようになっており,回復力も含めた “レジリエンス” という考え方にも適合するものである.マルチ・ハザード,マルチ・フェイズが今後の危機管理の方向性となっているが,防災・危機管理を担う人材の育成は,被害抑止を担当する各分野でハザードごとに行われている.日本においては災害対応についての体系的教育が行われておらず,また復旧・復興はほとんどカバーされていない.今後,マルチ・ハザード,マルチ・フェイズでの人材育成を行うような仕組みの構築が求められる.

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