Japanese
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特集 概日時計が制御する多面的な生理機構
免疫のリズム
Rhythms of immunity
中尾 篤人
1
Atsuhito NAKAO
1
1山梨大学医学部免疫学講座
キーワード:
概日時計
,
時計遺伝子
,
自然免疫
,
獲得免疫
Keyword:
概日時計
,
時計遺伝子
,
自然免疫
,
獲得免疫
pp.835-838
発行日 2025年3月8日
Published Date 2025/3/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292100835
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免疫(反応)とは,ウイルスや細菌,真菌,寄生虫といった病原体が体内に侵入したときに作動する多種多様な細胞で構成される動的ネットワークによる感染防御システムである.免疫反応は概日時計によって強く制御されている.動物では,活動期に摂食,飲水,けが,繁殖などの機会が増え,ウイルスや細菌に曝露される確率が高まり,逆に休息期には寄生虫などを媒介する吸血性昆虫の活動が高まるなど,感染症リスクには個々の状況に応じた時間依存性がある.また,免疫系は精緻で込み入った多段階のシステムであり,各段階で1つでもエラーがあると立ち行かなくなる危険な生命現象でもある.よって,免疫反応の始動,維持,収束時に起こる細胞間相互作用では,個々の細胞の時間が適切にカップリングしなければならない.これらが,免疫系の制御機構に “時間” が組み込まれている理由であると推測される.本稿では,概日時計が免疫のリズムに関する現在までの知見を概説する.詳細は優れた総説をご参照ください1-4).

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